緊張の空間をお茶が取り持つ

 東北でのドイツ人ふたりとの出会いから数ヶ月後、私は予定通り結婚し、ふたりでの生活も楽しく過ごしていました。主人も東北での出会いの話しは何回も聞かされ、自分までその場所にいてそのふたりと知り合いのような気になっていると言っていました。
 しばらく経って私はそれまで勤務していた会社を辞め、自宅近くで仕事を見つけようと一時仕事を辞めていました。主人はいいチャンスなので次の仕事を始める前に海外旅行にでも行こうと言ってくれたのです。主人もちょうどまとまった休みを取れる時期があったのでそれに合わせてと言うのです。私は2つ返事でOKしました。
 12日ほどの旅行はやはりヨーロッパという私の提案で、イタリアからドイツと少し欲張りな旅を計画しました。
 ちょうど旅の計画を立てている頃、東北で出会ったドイツ人の彼からハガキが来たのです。彼らもいよいよ結婚するらしいのです。私はすぐに返事を書きました。そして、その手紙の中に近々旅に出る事、ドイツにも行く事を書いて送ったのです。
 旅の準備も進んだある日、再びドイツから手紙が来ました。ドイツに来るならば是非会おうというのです。そうです、せっかく行くのですから最初からそう計画すれば良かったのです。私は急いで旅の計画を見直し、列車の時刻を調べて彼らの住む近くの主要駅への到着時刻を調べました。ミラノからスイスを通ってミュンヘンに夕方到着予定の列車がちょうど良さそうです。そして、その時刻を知らせる手紙を投函した5日後旅に出たのです。もちろんその手紙の返事は受け取れるような時間はなかったのは言う間でもありません。メールアドレスさえ知っていれば、教えていれば、すぐに連絡も取れたのですが、でもこの懐古的なやり取りはスリリングで面白かったようにも思います。
 ミラノからミュンヘンへはほぼ半日の列車旅で、通り抜けるスイスの街の美しさを見ながら、列車は夕刻にミュンヘンへ到着しました。
 ホームに下りて出口に向かって歩いていると、人の流れに逆らって歩いてくる人がいます。最初は分かりませんでしたが、東北での姿からは想像できないカッチリとした姿の彼だったのです。

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